特別企画『旧街道ウオーク』京道・棚野坂越ウォークのご報告

第三ステージ始まる 西の鯖街道を歩く! 京道・棚野坂越を1泊2日で踏破!!

開催期間:11月9日(土)~10日(日)

集合場所:JR小浜線 若狭高浜駅 8時20分

ゴール:南丹市美山支所 11月10日(日)午後4時/解散場所 JR小浜線小浜駅 午後5時

距離:11月9日(土)20km 11月10日(日)22km

 ウオーク概要:(竹原会員寄稿) 今回が大変魅力的なウォークであることは解っていた。スタッフが5回も下見をし、チェンソーまで持ち出して道路整備をし、万全の準備をしてくれたことも、福井県の西端の街道でその入り口に行くまででも困難で、だからこその魅力だということも承知していた。 が、散々に迷った。① 早朝5時出発で体力がもつか、② 宿が雑魚寝ではないか、③ 雨が降ってビチョビチョにならないか、④ 雨の山越えでアクシデントが起こらないか。直前まで迷ったが、飛び降りる気持ちで参加した。結果としては不安が的中したものの、「終わり良ければすべてよし」、深く印象に残るウォークになった。 一日目午前の主題は「福谷坂峠と禅寺」だ。高浜駅に集結したのは41名。うち女性が13名。気温、天候ともに申し分がない。わざわざ高浜漁港まで行って、しっかりと秋サバを担いだ気分になる。のどやかな田園を過ぎるとすぐに細い舗装道路に入る。ノジギク、ミゾソバ、ノアザミが足元をいろどる。 まもなく「西の鯖街道碑」が左手に現れる。往時の担ぎ手の等身大の像である。笠をかぶり、やや前かがみに荷物を背負っている姿。「もう一つの鯖街道」という説明がある。この道をこの姿で、約120キロ奔り抜けたという。説明はないが、これで京まで一昼夜というのは無理だろう。何キロぐらいの荷物か、誰も教えてくれなかったが、まず60kgぐらいではなかろうか。 このまま舗装道路かと思いきや、突然急峻な山道に入る。斜度30度ほどもあろうか。ロープを張ってくれている。「えーっ、ここを登るの」「こんなところを本当に鯖を担いで行ったの」。しかし、まもなく普通の山道になる。サクサクと落葉を踏んで歩く。実に気持ちがいい。嶺北と比べると、やや照葉樹が多い。ヒサカキ、ツバキ、アセビ、カシが目立つ。広葉樹のナラ、シデ、クヌギ、シャラ、リョウブは紅葉にはまだ少し早く、まれにカエデの赤も混じっている。鮮やかな緑色をした天蚕の繭を拾った。この山地の豊かな山の幸が偲ばれる。ところが、スギとヒノキの根元には背丈ほどのところまでビニール製の防護柵が巻きつけてある。鹿の食害がひどいのだ。リョウブは葉が食用になるくらいだから旨いとみえて樹皮が盛んに食われている。そのため枯死しているものもある。スギやヒノキなんて臭いだろうと思うが、よく狙われている。ただでさえ二束三文にしか売れないのに防護までやらされるのでは林業家は困るだろう。「日本海が見えるよ」という声。福谷峠の頂上だ。標高330m。「古代より高浜から都へ塩や魚を運んだ道」という説明。小さな碑が建っていて「道造供養塔、大乗妙典、五穀成就、牛馬安全、文正10年」とある。30cmほどの小さな石仏。風化が激しいが印綬を結び、頭に少し飾りもみえるので密教系だと分かる。手提げのトックリがあり「隅田酒店」と墨書。今も子孫が高浜にいるよ、と傍らの人の説明。仏教のにおいは担ぎ手たちの祈りの痕跡だろうか。 雑木林の中にほとんど下草が生えていないのはなぜだろう。鹿が喰ってしまったからか、雑木が大きくなって日光が入らなくなったからか、二説あるらしい。 峠を降りて平地にでると、若狭舞鶴高速道が山の間を無粋に走っている。石山地区には小さな禅寺。曹洞禅。道路の脇に、まん中に通路のような空間を持った建物がある。「通り堂」という。実は道路の真ん中にこの堂がおいてあったという。モータリーゼーションの普及に負けて、道路脇に退いた。中には腰掛があり、珍しい木彫の地蔵も飾ってある。村人が休憩したらしい。のどかな山村風景がひろがっている。同行してきた学芸員が、近くの石山城跡発掘について解説。昼食。 午後の主題は「石山峠と長く退屈な舗装道路」。 広い舗装道路を越えると、またもや峠道に入る。ここも鹿の食害がひどい。以前は換金作物として大切にされていたアブラギリが目立つ。今はもう金になるまい。道路わきにはフユイチゴ、カラスザンショウの紅い実。タラの木の実はもう霜枯れている。ところどころ赤いヤマウルシも見える。 峠を降りてくると、いわゆる高浜街道の広い舗装道路にでる。この峠が分水嶺だったらしく、川の流れが逆になった。淡々とただただ、ひたすら歩く。こうなると当協会の名物歩行になる。ダーッと歩いて、ストンと休む。またダダダーッと歩いてから後続を待つ。この歩行を批判する人もいるらしいが、なに構うことはない。これが当協会の特色であり、脱落者なしについていっているのである。ただ、街道脇の清流は見事なもので、少し愛でたい思いはある。上流に人も工場もほぼゼロだから水底まで透き通っている。ちょっと覗いてみると、小ハヤが直線的にパッパッと走るほかには何も見えない。もう産卵期を過ぎているがイワナの魚影はまったくなかった。虫野地区。海がみたさに、どこかの姫がやってきて、この地が気に入って住み着いたという伝説とその五輪の塔。どこの何と言う名前の姫か模糊としているところが伝説らしくていい。現在では山奥の住みにくい地方と思われがちだが、田園と小高い山と、みごとな清流に恵まれた地方であったことが伺える。熊よけ鈴を一日中鳴らした人がいて、これは本当に迷惑だった。だいたい集団ウォーキングに熊鈴はいらない。人間ほど凶暴な動物はいないので、まして集団で歩いていたら、熊は絶対に出てこないのだ。 淡々とひたすら歩いて名田庄に入る。ちなみにナタショウという読み方は気に喰わない。ナタノショウ、音便化してナタンショウが正しい。 バスのお迎え。何と1時間ほどもバスに乗って宿泊地へ。京都市右京区にあるゼミナールハウス。安いところを探してここにしたのかと思うが、こんなに離れているとは思わなかった。食事はこれで充分だし、風呂もいいし、ビールまで出してくれたのだが、20畳に11人雑魚寝は年寄りには少しこたえる。眠りにくいというだけのことだが、明日のことを思うと少し不安だ。「明日は晴れますように」。

 10日 今日の主題は「雨の山行きと強行ウォーク」。 目覚めてみると、無情の雨。風もないし寒くもないが油断はできない。カッパ着用。こうなると、ゴアのカッパは心強い。汗は通すし、雨は通さない。終日小雨が続いたが、汗もかかないし、まったく濡れなかった。ウォーキングシューズの革が少し膨らんだのみ。山歩きになれたものにとっては苦痛でない。 昨日の名田庄に戻る。すぐ山道に入る。ここから標高640mの棚野坂峠まで登ることになる。誰も脱落しない。もう覚悟をきめるしかないのだろう。ところが、いざ登り始めると、人が歩いて固めた道はくぼんでいて、そこに落ち葉が積もって、歩けばふうわりと布団の上にのったような気分。ゆるやかな山道で舗装道路より歩きやすい。馬が通ったとおぼしき広い山道。アカマツが多く、ところどころ巨大なツガの木、頂上付近には黄葉しているブナの群落。50,年以上経た大木もある。これが早春ならば、白いアセビと赤いイワカガミの花が咲き競うに違いない。アセビはすでに小さな花芽をつけている。 峠の頂上につく。看板があって「鶴ケ岡の大及と口坂本の坂尻を結ぶ高浜街道の要衝の地」という説明がある。数百年経っている大杉の根元には六地蔵が鎮座していた。横一列に並んでいるのだが、一体は台座のみがあるので、昔は七地蔵ではなかったのかしら。赤いヨダレガケが長くてよく見えないので、そっとめくってみた。頭はおしなべて円いが、両掌を合わせた地蔵が四体と錫杖をもった地蔵が二体。つくり手も変化を求めたのか。この地蔵たちはこの地に鎮座して、鯖の担ぎ手たちの信仰を集めたのではなかろうか。ここで荷物をおいて汗を拭きながら、一休みした人々の姿を思い描いてみた。 12:30。堀越トンネルの真上の旧国道まできて、人数を点検。今日は小浜山の会の人も合流しているらしいが、48名中37名しかいない。そぼ降る冷たい雨の中で1時間待った。何の説明もなくて解らなかったが、少し遅れて揃ったようだ。それから大急ぎで歩いて、盛郷公民館に着いたのが、13:30。ようやく昼食。低血糖症になったりしないかと案じられたが、全員悠々のゴールイン。リーダーの到着を待って指示が出た。目的地まで強行ウォークになる。静原まで9.5km。数人公民館にとどまったが、あとは全員リーダーを追って歩く。今度は由良川の支流が右側を流れている。この川は日本海に注ぐ清流だ。こんな猛スピードで歩いたのは久々。9.5kmを、わきめもふらず歩いて、何と82分で歩ききった。汗を通してくれるカッパに感謝。予定の16時には、まだ少し余裕があった。 ちょっとしたアクシデントだったが、予定の時刻にはぴしゃりと間に合った。京都の中心地まで、あと80kmほどもあるという。このコースはこれで終りらしい。残念だ。

最後にリーダーの皆さんに感謝。とてもいい企画でした。もう一度感謝して筆を擱く。       (竹原)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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